私たちの中に眠る「お金持ちになりたい」という欲望は時に暴走してしまう。だからといって「お金は卑しいものだ」などといった極端な思想で欲望を完全に押さえつけようとすると元気を失ってしまう。
理性と欲望、ちょうど良いあんばいにコントロールしなくてはならないのです。
そして、これは「心の豊かさを大事にすること」と「お金を稼ぐこと」も同じです。バランスを取らなければいけない。
ちなみに、渋沢栄一だけでなく、財政再建・農村復興などに尽力した二宮尊徳も同じようなことを言っています。
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」(二宮尊徳)
人格を磨くこと
さて、本書の中には次のようなことも書いてあります。
「昔の学問と今の学問を比較すると、昔は心の学問ばかりだった。一方今は知識を身につけることばかりに力を注いでいる。 昔は読む本がどれも「自分の心を磨くこと」を説いていた。さらに自分を磨いたら、家族をまとめ、国をまとめ、天下を安定させる役割を担うという、人の踏むべき道の意味を教えたものだった」
「ただ学問のための学問をしている。はじめから「これだ」という目的がなく、何となく学問をした結果、実際に社会に出てから「自分は何のために学問してきたのだろう」というような疑問に襲われる青年が少なくない」
つまり、渋沢栄一いわく、最近は「どう生きるか」といったベースとなる哲学を持たないまま、表面的な知識ばかり学んでいるから、実際に社会に出てから戸惑い迷ってしまう人が多い。
昔はその部分に重点を置いて学んだけれども、今はそこがないがしろにされている。
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