渋沢栄一も本書の中で言っています。
「どんな手段を使っても豊かになって地位を得られれば、それが成功だと信じている者すらいるが、わたしはこのような考え方を決して認めることができない。素晴らしい人格をもとに正義を行い、正しい人生の道を歩み、その結果手にした地位でなければ、完全な成功とは言えないのだ」
渋沢栄一は、「不誠実な振る舞い」や「自己の利益だけを追い求める行為」を否定し、「論語」の精神に基づいた正しい行動から得た成功でなければ成功とはいえないと言っています。
そして、そもそも不誠実な行為から得た利益は「決して永続するものではない」と警告しています。
現実に立脚しない道徳を振りかざすべきではない
とはいえ一方、社会正義のための道徳を頭でっかちに振りかざすことや、金銭をいやしむという風潮が極端に行われることにも警鐘を鳴らしています。
現実に立脚しない道徳は、人々から活力を奪い、国家も衰えて弱くなり、最後には国を滅亡させてしまうと言います。 実際に、中国では宋の時代にそうした事態に陥り、国が弱体化してモンゴルに攻め込まれてしまった歴史があるそうです。
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