半屋内のようになっている駐車場は静かだった。
「ねえ、サトシ。ちょっと。ここって…」
「いいだろ?」
そう言って、サトシがこちらを見た。
「いいだろって…。何が…」
わかっていながら問い返さずにはいられなかった。
「行こう」
サトシの少し茶色がかった瞳に、自分が映っているのが見えた。
サトシが車を降りた。
あたしは自分の息が荒くなるのを感じた。
それからラブホに入って部屋に着くまで、どこをどうやって歩いたのか覚えていない。
気づいたときには、サトシと手をつないで、部屋の中に入っていた。
背後で、部屋の鍵が自動で閉まった。
サトシに引っ張られながら、何とかミュールを脱ぎ捨てた。
「って、おいおいおい~。冗談でしょ!」
あたしは努めて明るい声で、サトシの背中に向かって言った。
にもかかわらず、サトシからは反応がない。
正直、あたしの心臓は爆発寸前だった。
サトシがゆっくりと振り返る。
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