何となく恥をさらすようで、それまで話せずにいたけど、サトシの返事はあっさりしたものだった。
「女の名刺持ってたって、浮気とは限らないんじゃねえの。おっ、ナイスパス」
サトシが試合を見ながら言った。
「でも、裏に手書きで電話番号書いてたもん。かわい子ぶった丸文字で」
あたしは自分のことで精いっぱいで、サッカーの試合なんて目に入らなかった。
「名刺の表の名前は?」
「店名とかは書いてた?」
「CLUB JUNGLE、だったかな」
「キャバクラだな、そりゃ」
「浮気じゃん」
「ああ、おまえ、あれか。キャバクラは浮気と認定する奴か。あ、ボールとられた」
サトシがグラウンドとこちらを交互に見ながら言う。
「キャバクラなんて浮気するために行くんでしょ」
「キャバクラで浮気なんて、通い詰めないと無理だって。あれは普通、付き合いで行くところ」
「なんで付き合いでそんなとこに行く必要あんのよ」
「それを言われると、だな。まあ…」
「ほら、やっぱ浮気じゃん」
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