本件では、頻繁な夫婦喧嘩や家出、被控訴人が暴言、
暴*を振るう等の事情があったが、控訴人は女性で力も弱く、
男性が振るう暴*とは事情が異なっている。
また、夫婦生活がすさんでいたとは考え難く、被控訴人は控訴人の体調が悪いときなど
常に食事を賄ったり洗濯をしたり等の協力をしてきた。
そして控訴人は自らの言動に深く反省をし、被控訴人とやりなおすため、精神科で治療まで受けている。
このような事実をかんがみれば、婚姻協同関係を修復することが著しく
困難とはいえず、婚姻を継続し難い重大な自由は存在しない。
2、被控訴人の主張
控訴人の言動及び行動は、自らの意思のみ執拗に被控訴人にぶつけ、
暴*まで振るって窒息寸前まで被控訴人を追い詰めるもので、
夫婦喧嘩という域を著しく超えるものであった。したがって、被控訴人の離婚意思は固い。
また、控訴人は被控訴人とやり直すための具体的な方法を一度も提案したことがないし、被控訴人の出奔した先も探そうとしなかった。
単に「いつか帰ってくるであろう」と、放置をしていただけである。
以下のとおり、被控訴人と控訴人の婚姻は破綻はており、
婚姻を継続し難い重大な事由がある。
第3 当裁判所の判断
1、被控訴人は、控訴人と被控訴人の夫婦関係を修復することは著しく困難ではないと主張する。
しかし、控訴人は、被控訴人との同居期間中、
被控訴人を長時間にわたって一方的に詰問し、満足出来る返事がないと
罵声を浴びせ、水をかけたり時には暴*を振るい、
家出をして自らの所在を被控訴人に一晩中探させる等の行為を繰り返して
被控訴人を振り回し続けた上、3度にわたって離婚届用紙に署名を求め、被控訴人が最終的に離婚の決断をすると、
今度は、本意ではなかったと復縁を求めているものである。
そしてこのような経緯を経て、被控訴人は控訴人との離婚を強く求めるに至っている。
控訴人が現時点において被控訴人に対する仕打ちを反省し、
復縁を求め、そのための努力をする気持ちを持っていることは理解できるが、
前期引用に係る原判決が認定する控訴人と被控訴人との夫婦関係からすると、被控訴人が離婚を求めるのは自然なことであり、
被控訴人が控訴人と復縁を望むようになるとは考え難い。
控訴人と被控訴人の夫婦関係の修復は不可能ないし著しく困難というほかなく、
婚姻を継続し難い重大な事由が存在する、というべきであろう。