「一旦、落ち着こう。話ができない」
「話はしてるじゃない。今、この話を」
「違う。そうじゃない。このことを…」
旦那が写真を自分の顔の前に掲げた。
「じゃあ、聞かせて?」
あたしは写真を手で押し下げ、旦那の顔が見えるようにした。
滲んでいるけど、旦那の顔が近くにあった。
「な、何を?」
「あなたはあたしのこと、好き?」
「い、今更、何を…」
「あたしのこと好き?」
「好きとか、そういう…」
「好きかどうか聞いてるの。ねえ、どっち?」
「なぜ、その二択になるんだ」
「Yes or Noで答えられないの? そんなことも答えられないの? それでも学者先生なの?」
「僕は…」
旦那が目を逸らした。
「こっち見て言って、ほら」
あたしは旦那の顔を両手で挟んで、こっちを向かせた。
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