その週の金曜日、旦那がいつもより早く帰宅した。
「あれ? 早いね」
ソファに座ってテレビを見ていたあたしは振り返って言った。
いつものように短く言って、旦那が書斎に入って行く。
あたしは、ご飯作らないとな、とぼんやり考えていた。
しばらくすると、旦那が書斎から出てきた。
ドアの音でわかった。
「ねえ、ご飯…」
そう言いかけたあたしの横を通り過ぎ、旦那がテレビ本体の電源を消した。
「ちょっと、何す…」
「話がある」
旦那が振り返って言った。
書斎に入って少し時間があったのに、旦那は服を着替えていなかった。
「え? 何?」
あたしは言った。
旦那は大きな茶封筒を手にしていた。
分厚い書類でも入っているのか、膨らんでいるように見える。
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