結局、試合が後半になって盛り上がったせいで、その話は続きができなかった。
続きって言っても、サトシが言うように、どれだけ考えても答えが出る問題じゃないんだけど。
そうはいっても、考えずにはいられないあたしは、帰りの車内で一人悶々としていた。
空気を察してか、サトシも無言で車を運転していた。
と、いつの間にか車がバイパスを降りていた。
あたしはサトシが近道を知っているのだろうと思って、さして気にも留めなかった。
異変に気づいたのは、それまで走っていた国道から側道へ入ったときだった。
少し進んで徐行すると、サトシがハンドルを急に左へ切った。
「え? ちょっと待っ…」
言いかけたあたしは、車が段差のあるところに乗り上げたせいで、舌を噛みそうになった。
車は外壁に派手な広告を出した、洋館風の建物の敷地に入って行く。
駐車場には他にも車が数台停まっていた。
奥まったところにも駐車スペースがあり、そこは外から見えにくくなっている。
サトシはそこへ車を進めた。
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