中学時代、おとなしかったあたしが高校デビューできたのは、のおかげだった。
学年で一、二を争う美人のユリが、どうしてあたしと親友になったのかというと、ある趣味がきっかけだった。
高校に入学してすぐの頃、同じ中学出身に仲の良い子がいなかったあたしは、昼休みに一人で学食で天ぷらうどんを食べていた。
そのとき、学食の外から男子たちの叫ぶ声が聞こえてきた。
「オー、オー」
一定の間隔で叫んでいた。
「ジャンボ鶴田かよ」
あたしは思わずそうつぶやいた。
その一言が近くにいた男女グループの笑いを誘った。
学食にいた他の人たちが叫び声に気を取られて会話をやめていたので、あたしの声が少し離れたところまで聞こえたらしい。
教室に戻る途中、廊下で声をかけられた。
「おまえ、同じクラスだよな。ジャンボ鶴田って。ウケたわ」
そう声をかけてきたのがだった。
その背後に、がいた。
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