「僕の話、聞いているかな?」
「してない、してない、してないし!」
「僕の話を聞け!!」
旦那が大声を出した。
そんな声を、初めて聞いた。
出せるんじゃん、大声。ずるいよ。
「状況を整理しよう」
旦那が元の声に戻って言った。
天然パーマの髪の毛を一束、右手の人差し指と親指で巻き取っていた。
考えをまとめるときに、旦那がいつもする仕草だ。
ふと懐かしさを感じた。
久しく旦那と話していないことに気づいた…。
「いいかい。君は…」
「好きなの!」
言葉が、口を突いて出た。
旦那がこちらを見て、止まった。
目が合った。
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